全国の烏帽子岳、烏帽子山をあわせると85座あるそうで、丸ければ丸山、とんがっていれば烏帽子とつけたのではないかと思われるふしがある。
この烏帽子のとんがり度は他にゆずるとしても、けっこう三角錐の頂上が目立つのは、美しい裾野が引き立て役になっていると思われる。いわば秀麗な烏帽子である。
浅間連峰ないし烏帽子火山群西端の山で、上田市真田町と東御市の境にあるれっきとした信州の中にある山だ。すぐ東隣りの湯ノ丸山が群馬県嬬恋村と境をなしているので、かろうじて信州にとどまっている山といってもよい。そのためかは不明だが、上田市などでこの山が望める学校の校歌に、必ずといってもよいほど登場する山である。
信州百名山のひとつに入れた清水栄一は、「何回登ってもその烏帽子のように尖った美しい草原の頂上は私を満足させる」と著書の中で記しているので、おそらくお気に入りの山だったのだろう。いまも、2000メートルを超す山としては比較的らくに登れるため、家族連れやカップルを筆頭に、中高年の登山者にも人気の高い山である。
東御市の広域農道浅間サンライン新張(みはり)地区にある大きな一番観音を基点とし百体観音の車道を群馬県境の地蔵峠まであがる。峠が入山口。車は駐車場(無料)へ。左(西)の林道をキャンプ場まで。ゆるい傾斜の道を進み、やがてツツジ平経由湯ノ丸山への道を右へ分けてさらに西へ。ほぼ等高線沿いの湯ノ丸山の南山腹を進み、湯ノ丸山と烏帽子岳を結ぶ尾根の鞍部へでる。右は湯ノ丸山へ、左は烏帽子岳へと道を分け、烏帽子岳の東山腹を斜上し終わると、頂上から南へのびるひらけた尾根上となる。まっすぐ北上ひとふんばりで頂上。入山口から約1時間半強。
ほかに湯ノ丸山からのコースと、北の角間温泉、角間渓谷経由約3時間半強のコースがある。なお、地蔵峠を基点とすれば、この山ひとつでは物足りないという向きには湯ノ丸山とのセット登山をおすすめする。
まず第一には大展望だろう。湯ノ丸山の陰になって見えない山以外は全部見える。6月のレンゲツツジ、特に湯ノ丸山の60万株といわれるそれは見事。烏帽子岳の南と東山腹のやや高い位置に点在するサラサドウダンの紅葉は美しい。また地蔵峠付近はヤナギランをはじめ高山植物がけっこう多い。
東御市和地区にアグリビレッジとうぶ湯楽里館。隣接してOH!LA!HO地麦酒倶楽部があり地ビールが楽しめる。