埴科郡坂城町と千曲市の境にある山で、高さの割には存在感がある。
最近、山を知らなくてもその名前だけは知っている人が増えてきた。それは、上信越自動車道の4キロを越す長い五里ヶ峰トンネルがこの山の下を貫通し、自動車道利用者が増加しているのと比例する。
ゆったりとした長い尾根を南へ伸ばし、先端を国道18号線や千曲川へ落としているがその尾根の中間よりやや南に支峰の葛尾山(かつらおさん)がある。ここには戦国時代、いったんは上杉方へ逃げたものの奪還し、このあたりでは唯一武田勢に勝った武将、村上義清の葛尾城がある。坂城町ではその武勲が誇りなのか義清公と呼ばれている。
葛尾山と五里ヶ峰を結ぶ尾根は、戦国時代のそんな戦に思いを寄せながら歩くのに静かでふさわしく、いきなりといっていいくらいの五里ヶ峰の頂上の展望は特筆ものである。もし、標高を知らされないで登ってみれば、おそらく1800メートルくらいの高さと感違いするだろう。
地元が誇る里山としては名山にあげても異論はあるまい。
坂城町の市街地北に坂城神社があり、数台駐車可。神社北東の隅の道端に「葛尾城跡登山口」の標柱があって入山口。果樹園などを過ぎて右に「近道登山道」。直進して正面に岩場が見えてきて右折。山腹を巻くように進んで左へ登り切ると丸い岩肌や砂礫の主尾根。直進すると左から姫城跡の道と合い、アカマツや雑木の混生林をジグザグに登る。けっこう急登。やがて葛尾城三の郭の台地。二の郭と続きすぐに大きい東屋のある頂上(本郭)。北へいったん急下降し岩のある尾根を行く。やがて右になぜか空の電話ボックスがあり、左に千曲市戸倉磯部からの道と合う。すぐに今度は右手に広い林道北山線の終点がある。まもなく送電線鉄塔をすぎ展望のない林の中を直進する。頂上に近く左にヒノキ林があり、さらに登ると左に同市戸倉福井からの道を合わせ、次は右に驚くほど広い防火帯の切り開きが上ってきていてわずかで頂上。入山口から約2時間半。
本文中にいくつもほかのコースとの合流があるので割愛するが、坂城側から五里ヶ峰だけなら林道北山線がある。なお、往復で変化を求めるなら葛尾山から「近道登山道」を下ってもよい。
葛尾山からは南の千曲川の流れと周辺の町。南東に上信越自動車道と上田市との境をなす太郎山山脈や大峰山山脈などの展望。五里ヶ峰は頂上が芝地で大展望。西の眼下に千曲市の戸倉上山田の温泉街が手にとるよう。西正面は冠着山がとんがって、そのうしろは北アルプスといったぜいたくさ。
冠着山と同じだが、坂城町の千曲川左岸に昨年「びんぐしの里公園」がオープンし、その山頂にある「湯さん館」。