「じゃとうげやま」と読む。昔、蛇出(じゃで)という屋号をもった山麓の農家に住みついていた大蛇が、体が大きくなったので頂上付近の池(または治部坂峠の池)に引っ越すと、わざわざ挨拶をして出ていったという伝説が山名の由来という。
県最南部の下伊那郡平谷村と阿智村(旧浪合村)、阿南町の境にある山で、南北の両村を旧伊那(三州)街道が結び、街道最高所にあったのが治部坂峠である。現在は国道153号線となっているが、その峠の東至近にこの山はある。
国道側に治部坂スキー場ができてから、冬は中京方面の人たちでにぎわっているが、雪が消えると静かな高原地帯に戻る。戦国時代は三河、甲斐の要所とのろしで連絡をとり合ったといわれるくらい、県最南部としては際立って高い山である。そのため山頂付近には国土交通省のレーダー雨量計をはじめ、いくつものアンテナなどが設置されている。
スキー場の南の別荘地からアンテナ群まで車道があいているが、標高1500メートル付近の馬の背までしか一般車は入れない。ゲートの横に「蛇峠山登山道」の看板があり、入山口となっている。ゲート前には数台駐車可能。時折り右下に車道をみて、まっすぐ尾根上を進むとアンテナ群にでる。やや下りながら東へ進み、池があったと思われる小さな平原を抜けると、鉄骨組みの大きな展望台がある頂上。入山口から約1時間。
位置と高さからの大展望。東に南アルプス、北にどっしり御嶽山。至近の北に大川入山でその背後に恵那山など。よく晴れた日には伊勢湾さえ望めるという。
別荘地のある山麓にはレンゲツツジやシラカバが目立ち、高原らしい雰囲気をたたえている。
山の北4キロに尹良(ゆきよし)親王を祀った墓と浪合神社。その手前にあって復元された浪合関所跡(県史跡)などの見学もおすすめ。
別荘地入口左にある治部坂温泉「宿り木の湯」、「ホテル治部の庄」、恩田地区に「不動温泉花菱」。