妙徳山の南に長野市街地からもよく見える山で、南面は同市松代町東条、北面は同市若穂地区保科との境をなす里山である。
山名の由来は明らかではないが、それこそ奇妙なことにほぼ東へ直線で約15キロの位置に同じ名の山がある。双方の共通点といえば頂上近くの南面が岩壁帯であることで、低い山ながらちょっと神秘的だ。
この奇妙山の頂上には、かつてこの地方の養蚕が盛んであったことを示す石碑が数体あり、養蚕隆盛を祈る信仰登山のあったことをうかがわせる。また、頂上から東へ約500メートル伸びる尾根は岩尾根となり、そこには高さ150センチほどの石彫りの神官像が立っている。
南東、つまり御嶽山に向くこの像は北側の保科地区の御嶽講の名残りといわれ、昔、木曽の御嶽山まで行くすべのない人たちが展望のよい岩尾根まで登ってきて遥拝したらしい。
養蚕の祈願、御嶽への遙拝など南北両山ろくの人びとに愛されていた立派な里山である。
最も一般的なのは松代町東条の岩沢集落から。集落最上部の道路終点が入山口。数台駐車可。暗いスギ林の中に登山道がのびている。左手に尼厳山の岩壁帯が見え隠れする。沢の中の道を尼厳山からのコースの鞍部までつめる。鞍部からは右折し、やはり暗いスギ林を進んで左(北)へ山腹を巻いたのち、奇妙山から北西にのびる尾根にでる。あとはわずかな岩場の北側をまいたりして尾根どおしに登って石碑のある頂上。入山口から約1時間半。
ほかに尼厳山から縦走してくるもの。清滝のある南ろくの滝本集落からのびる林道東豊線に入り、地形図上843メートル標高数字の個所から神官像東の1070メートルピークへ登って左へたどるコースがある。
神官像からの展望はよく、かつての遙拝者の気分になれる。岩沢集落をふくむこの山の西山ろく一帯は、4月上旬から中旬にかけアンズの桃源郷と化す。近くのあまりにも有名な千曲市森地区のアンズと違い、山村らしい静かなアンズ見学を楽しめる。
西山ろく近くに加賀井温泉一陽館。その西に松代温泉国民宿舎松代荘がある。なお歴史の町松代なので、海津城跡(松代城跡)、真田宝物館や旧真田邸、真田家菩提寺の長国寺、象山(佐久間)記念館、松代大本営予定地跡など枚挙にいとまがない。