後立山連峰とは、富山県側から見て立山のうしろに聳える長野、富山県境の山々をいうが、その中にあって2,696メートルと最も低く、かつ最も登りやすい山である。
それは、1998年の長野冬季五輪の会場となった八方尾根が唐松岳の東へのびていることはもちろん、標高1,850メートル付近までゴンドラやリフトを利用できるからである。いわば最も大衆的な山といえよう。
その八方尾根の標高2,070メートルにある八方池は、北に位置する白馬三山、つまり白馬岳、杓子岳、白馬鑓ヶ岳が仲良く並んで湖面に姿を映すことで、写真マニアの格好の撮影場所となっている。
池が存在するということは、尾根にボリュウムがあることを物語り、後立山連峰の中でも南の遠見屋根と並んで最も広く長い尾根で、先の五輪競技場となったことはもちろん、春には残雪を利用した山スキーやスノーボード愛好家が目立つ。また、特に危険な個所はなく、夏は学校登山やファミリー登山でにぎわうのも大きな特徴である。
八方尾根を登り切った所に唐松山荘があることも登山者に安心感を与え、山荘から頂上へおよそ20分で立てることも人気の高い要因となっている。
白馬岳と同じ白馬村にあり、たとえばJR白馬駅のある白馬町地区からほぼまっすぐ西へ進むと八方地区となり、そこにゴンドラの山麓駅「はっぽう」がある。乗って終点は「うさぎだいら」。次のアルペンリフト、ロマンスリフトと乗り継げば、第1ケルンのある1,850メートルの八方池山荘である。30分。八方池山荘から整備された稜線コースと湿原コースの2本があり第2ケルンで合流し、やがて第3ケルンのある八方池へ着く(1時間)。池からは本格的な登山道らしくなり扇形雪渓をすぎると丸山(1時間半)。丸山からひとふんばりで山荘なる(1時間)。ほかに北の白馬三山から不帰の嶮(かえらずのけん)をこえて、南の五竜岳からの縦走コースがある。
あえぎながら来た八方尾根を登り切ったとたん、眼前に剣岳の雄姿がとびこんでくる。長い尾根だったがゆえに感激もひとしおといったところだ。頂上もすぐなので、夕食前や朝食前に登ってしまう人がかなりいる。
順次高度をあげてくるにしたがい、高山植物や植生の変化をゆっくり観察できることも特徴で、花の夏、紅葉の秋と初心者にも楽しむことができる。扇形雪渓の下部に群落を形成するウラジロナナカマドの実を、ライチョウがついばむ姿さえ見られるときがある。
白馬岳と同じ。