松本市のまつもと市民芸術館で25、26日に開いた「岳都・松本『山岳フォーラム2017』」。座談会やセミナーなど13のプログラムを通して山の魅力や安全な登山の知識を発信した。過去最多の約3千人が訪れ、登山文化への理解を深めた。
安全登山をテーマにした26日のセミナーは、北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会の山田直・救助隊長(北アルプス山小屋友交会長)らが講演。「安易な救助要請が増えている。自己責任の原則を忘れずに慎重な行動で楽しんでほしい」と呼び掛けた。
期間中、1975(昭和50)年に女性初のエベレスト登頂を果たし、昨年10月に亡くなった登山家の田部井淳子さんをしのぶ展示が人気を集めた。本人が使ったザックやピッケルもあり、訪れた人たちはじっくりと眺めていた。
北ア奥穂高岳などの山頂からの眺望を仮想現実(VR)で再現するゴーグルの体験コーナーは、親子連れでにぎわった。
山岳フォーラムは7回目で「山への招待状」がテーマ。松本市や北アルプス山小屋友交会、信濃毎日新聞社などでつくる実行委員会が主催した。最後は参加者と出演者が「穂高よさらば」と唱歌「故郷(ふるさと)」を一緒に歌い、全プログラムを終えた。
写真説明:「うわー、すごーい」。山頂に立つ仮想現実体験ができるゴーグルをのぞき込み、目を丸くする子ども=25日