県内のそば店やソバ生産者、製粉会社でつくる「蕎匠(きょうしょう)塾」は14日夜、そばの風味の違いを感じ、表現する勉強会を上田市内で開いた。伊那市高遠町のそば店「壱刻(いっこく)」店主山根健司さん(54)が丸山珈琲(軽井沢町)の協力で開発中の表を参考に、香り、風味、後味の表現を体験した。
山根さんは信州大大学院総合理工学研究科(修士課程)を3月に修了。味や香りが豊かに表現されるコーヒーなどを念頭に、そばの風味も類似の食品に例えて示すための表を開発中だ。来春、総合医理工学研究科(博士課程)に進んでソバの実の香りを評価する仕組みづくりなどを研究する。
勉強会には上田、松本、千曲の3市と山形村のそば店主や、信大生ら13人が参加した。県内産で産地や品種が異なるソバのそばがき3種類を用意。参加者は目をつぶって集中したり、何度も口に含んだりして香りや味を確かめた。
山根さんが示した表は円形で、「草木」「豆・ナッツ」といった8項目の下に、「ヨモギ」「ミント」や「栗」「アーモンド」など細分化した項目が並ぶ。参加者からは「ほうじ茶のような香り」「加熱した長芋のような風味」などの表現が出た。互いに話し合いながら意見をまとめた。
「よし吉」(上田市)店主の児玉和昭さん(54)はメニューで複数の粉を使い分けており、「お客さんからどう違うか聞かれる。説明する時に参考になる」。山根さんは「そばは共通した評価方法がない。仕組みをつくることで、産地や品種が言葉で表現できるようにしたい」と話した。勉強会の成果は今後の研究に生かす。
写真説明:そばがきの風味を確認する参加者たち