重機レンタルなどの上田技研(佐久市)が、遊休農地を活用したソバの栽培で事業を拡大させている。種まきから収穫、加工、販売までを一手に担い、そば店も2店オープン。上田章男社長(70)は「100パーセント自前のそばをお客さんに提供している」と胸を張る。
ソバ栽培を始めたのは2017年。業務の閑散期に余った人手を生かそうと、耕作から収穫まで機械で可能なソバに着目。専門部署「アグリ事業部」を発足させた。
遊休農地は所有者から委託を受けて無償で管理。自社の重機で雑草や木を取り除いて、土をならして整備する。畑は4月末時点で佐久市や小諸市、御代田町などで計約30ヘクタールに上り、17年時点の約10ヘクタールから拡大した。ソバの生産量は年間11〜12トン。
「(社員は)機械好きばかりなので、収穫機材の操作はたけている」と上田社長。佐久地方の住民でつくる「信州蕎麦(そば)打ち研究会」から助言も得ながら、コンバインや製粉機、殻が付いたままの「玄そば」の保冷庫など設備をそろえていった。
地元産のソバの味を広めようと、昨年3月に佐久市小田井の同社本社敷地内に「そば処(どころ) 上仲(うえなか)屋」をオープン。自社のソバから作った盛りそばの他、18年に栽培を始めたイチゴなどを提供する。今年2月には同市岩村田にも2店目を開店した。
上田社長は「『うちの農地も管理してほしい』という依頼が相次いでいて、手いっぱいの状態だが、それだけ困っている人がいるということ。イチゴやソバ以外の作物も手掛けていきたい」と話している。
写真説明:佐久市の遊休農地を耕す上田技研のトラクター。収穫は7月中旬を予定している(上)。2月に開店した「そばダイニング 上仲屋」=佐久市