主に伊那市高遠町のソバ生産者、加工業者、そば店でつくる高遠そば組合は大寒の20日、同市長谷の粟(あわ)沢川で「寒ざらしそば」の仕込みをした。江戸時代に高遠藩が「暑中信州寒晒蕎麦」として将軍に献上したと伝わることなどから、寒ざらしそばのルーツは高遠と考え、3年前に復活させた。今年は、昨年の倍に当たる90キロのソバの実を網に入れ、清流に浸した。
組合員5人が、積もった雪をかき分けて沢に向かった。気温は氷点下2度で、沢の水温は1度。長谷から高遠町にかけての谷一帯を指す「入野谷」産のソバの実を大小計12の網袋に入れ、水中にとどまるよう綱で木にくくった。
立春の2月4日に引き上げ、1週間ほど天日干しする。冷たい水や風にさらすことで保存性が高まるほか、通常のそばより甘味が強く、食感ももちもちするという。
昨年、加盟店で試験的に提供した。今年は6月ごろに500〜600食を提供する予定。飯島進組合長(61)は「上品な味で評価ももらっている。伝統に基づく製法で活動を展開していく」と話した。
写真説明:ソバの実が入った網袋を清流に浸す組合員