飯田下伊那地方最大のソバの産地、下伊那郡下條村の昨年の栽培面積が過去最高の延べ48・1ヘクタールに上り、収穫量も2009年に次ぐ22・1トンだったことが17日、村振興課のまとめで分かった。豊作に恵まれた一方で、栽培農家でつくる「村そば栽培生産者組合」はソバを売り切るのに例年より期間を要している。村は、遊休農地対策としてさらに栽培面積を増やしたい意向で、販路拡大を検討していく。
同課によると、村がソバ栽培に力を入れ始めたのは1995年。現在は夏と秋の二期作が普及している。農家数は当初の23戸から、昨年は61戸に増加。栽培面積も当初の延べ7ヘクタールから約7倍に広がった。ただ、天候不順で収穫量が14・9トンだった一昨年は12月までに完売したが、昨年収穫分はことし3月末まで在庫が残る見通しだ。
収穫されたソバの主な出荷先は、村内の「道の駅信濃路下條」で食堂や売店を運営する村出資の第三セクター「そばの城」。飯伊地方のそば店にも提供している。
村は、新たな販路を模索すると同時に、ソバの活用策も検討。そばの城は10年に「そば粉食パン」を発売、生産者組合は11年にソバ焼酎を開発している。村と同組合はさらに加工品作りに取り組む構えだ。村振興課の宮島敦さん(52)は「知名度の高い商品を作り、村の特産としてアピールしたい」としている。
写真説明:下條村で昨年収穫されたソバの実が入った袋