江戸時代に諏訪の高島藩が将軍家に献上していたと伝わる寒ざらしそばを再現し、提供する「献上寒晒(かんざらし)そば祭(まつり)」が13日、茅野市の手打ちそば店11店で一斉に始まった。今冬の厳しい寒さが影響し、用意できたのは昨年の3分の1の1500食分。観光客らが、貴重なそばを味わった。
寒ざらしそばに使うのは、秋に八ケ岳山麓で収穫されたソバの実だけ。厳冬期の1月に市内の清流に10日間ほど浸した後、約1カ月間寒風にさらして乾燥させた。乾燥と凍結を繰り返すことで雑味が抜けて、甘味が増すという。
そば祭は、市内のそば店やソバ生産者らでつくる「そば産業推進会議」と茅野商工会議所の主催で、6年目。同商議所によると、今冬は厳しい寒さが続き、凍ったそばが解けず、実の乾燥が進まなかった。担当者は「献上品の名にふさわしいよう、自信を持って提供できる実だけを厳選した」と話す。
この日、同市米沢のそば店を訪れた大阪府枚方市の会社員、高橋裕樹さん(34)は「食べた瞬間に普通のそばとの食感の違いを感じた」と満足げ。店主の野沢英樹さん(37)は「冷蔵技術がなかった時代にこれだけのそばができたことを伝えたい」と話した。
22日まで。各店とも十割そばで、1500円。問い合わせは茅野商議所(電話0266・72・2800)へ。
写真説明:茅野市米沢のそば店で寒ざらしそばを味わう女性客