遊休農地対策として1995年からソバの栽培に取り組み、飯田下伊那地方で最大の産地となった下條村が、さらなる栽培基盤の確立を目指している。延べ栽培面積は初年の7ヘクタールから2011年は47・3ヘクタールに増えたものの、06年以降は頭打ち傾向。収穫量は09年の24トンがピークで11年は天候の影響もあり14・9トンに減った。特産品としての位置を固めるためにも、村は栽培技術の向上に加え、ソバを使った新たな商品作りも目指している。
95年にソバ栽培が本格化したのは、村の農業ビジョンフォーラム(農業振興検討会)が特産品作りや遊休農地対策として決定したのがきっかけ。その後、延べ栽培面積は着実に伸びてきた。
ただ、収穫量は雨の量や気温の影響を受けやすく、01年には16・6トンを記録しながら04年には9・6トンまで減少。11年の延べ栽培面積は過去最高だったが、収穫量は09年のに比べると62%に落ち込んだ。5、8月に雨の影響を受けたのが原因で、安定生産の難しさを実感したという。
宮島栄一振興課長(57)は「飯伊地方のソバの特産地としての知名度をさらに広げるためにも、しっかりした収量を確保したい」と話す。県下伊那農業改良普及センター(飯田市)とも連携しながら、栽培技術の向上を図っていく計画だ。
収穫したソバの多くは、村出資の第三セクター「そばの城」が経営する「道の駅信濃路下條そばの城」で手打ちそばとして提供している。10年の12月からは「そば粉食パン」も販売。村内のソバ農家でつくる村そば栽培生産者組合は11年9月、村内産ソバを使った焼酎を開発した。村は、栽培農家や住民団体などと協力しながら新たな特産品開発を目指していく予定だ。