小県郡長和町大門を拠点とする「信濃霧山ダッタンそば生産者組合」が、通常のそば粉に比べてのびにくく、打つのが難しいという「ダッタンソバ」を扱う職人を養成している。腕を磨いているのは、募集に応じた地元の主婦や定年退職者計6人。将来は、組合が町の指定管理者として運営する加工直販施設「緑の花そば館」で、6人が打ったそばを販売する計画だ。
ダッタンソバは、ポリフェノールの一種「ルチン」を通常の100倍以上含み、毛細血管を強くする働きがあるとされる。同組合は、町内の遊休農地活用を目指して2005年から栽培。現在、年間約20トンの収量がある。
6人は、そば打ちに熟達した町職員の指導で昨年11月から6回、打ち方の基本を学んだ。組合は年間250キロのダッタンソバの粉を練習用に無償提供する予定。新そばを振る舞う秋のイベントなどで腕を披露してもらう考えだ。
昨年12月下旬に町内で開いたそば試作会で、6人は初めてダッタンソバの粉を使用。のばしている最中に生地がひび割れるなど悪戦苦闘した。
定年退職を機に神奈川県から同町に移り住んだ佐藤昇さん(61)は「そばが硬く、のし棒の扱いが難しい」としつつ「仲間に入れてもらえてうれしい。良いそばを打って地域に貢献したい」。主婦の金子智恵子さん(68)は「少し太くなってしまった。お客さんに食べてもらうにはまだまだ」と気合を入れていた。
組合は3年程度で一人前の職人を育てる計画。児玉和人組合長(79)は「販売までに時間はかかるかもしれないが、6人はやる気十分。全力でサポートを続けたい」と話している。