江戸時代に高島藩から将軍家に献上していたと伝えられる「寒ざらしそば」の仕込み作業を、茅野市玉川穴山の小林一茶(ひとし)さん(72)が自宅で行っている。
厳しい寒さを利用する製法。昨年秋に収穫したソバの実を寒の入りから10日間ほど清流に浸した後、約1カ月間寒風にさらして乾燥させ、3日ほど天日で干して仕上げる。
ソバの実は吸水するとデンプンが糖化して甘みと粘りが出てくるという。浸し続けると発芽するため、寸前で水から上げて外気で急速に凍結し状態を維持させる。低温乾燥によって品質を長持ちさせることができる。
「寒いほど良いそばになる」と小林さん。ソバの実を裏と表が均一に乾くように「手返し」しながら1日に3回、状態を確認する。今年は240キロの寒ざらしそばが今月中旬に完成し、7月下旬に市内のそば店で提供される予定だ。