アール・ブリュット発信へ 茅野の古民家をギャラリーに

2013/04/19 10:36
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 岡谷市の元美術館学芸員、赤松さやかさん(31)が、茅野市湖東新井にある築120年余の古民家を自身の手でギャラリーに改装し、26日に営業を始める。美術の専門教育を受けていない人たちの芸術「アール・ブリュット」の魅力を発信する場に―と、1年かけて少しずつ内外装を仕上げてきた。ギャラリーの名は「作者不詳の作品」という意味の「アノニム」とした。

 赤松さんは東京都日野市出身。学生時代、海外のアール・ブリュット作家を取り上げたドキュメンタリー映画を見て興味を引かれた。この分野では知的障害や精神障害がある人の作品も多く、宝塚造形芸術大学(現・宝塚大学)の大学院に進んでからは、こうした人たちの作品を見るため全国を回ったという。

 毛糸で作った独創的なオブジェ、素朴な表情の信楽(しがらき)焼…。「作品を『こう見せたい』とか『こう見られたい』というてらいがない。良い意味で格好つけてないと思った」。同時に、こうした作品を紹介するギャラリーを作ることが将来の夢になった。

 2009年春、ハーモ美術館(諏訪郡下諏訪町)の学芸員となり、収蔵する欧米の「素朴派」画家たちの作品に接した。アンリ・ルソーら特別な美術教育を受けずに自由な感性を表現した作家の作品に触れ、アール・ブリュットに通じる部分を感じたという。

 転機が訪れたのは11年秋。ドライブに出掛けた茅野市で、住宅地の中に立つ1軒の古民家と出合った。黒ずんだはりや太い柱を眺め、「一目でピンと来た」。ギャラリー開設への思いが高まり、12年3月には館を退職。古民家を借りると、家主に改修を認めてもらい、本やインターネットで改修方法を勉強した。

 1人で木戸を取り壊して壁と窓を作り、床を張り替え、壁も塗り直した。「作業があまりに大変」で、何度もくじけかけたが、中断も挟みながら約1年で完成させた。

 改修費の約200万円は、学芸員時代の貯金を取り崩して充てた。アール・ブリュットを中心に、自らの人脈で作品展を企画、展示販売していくほか、展示室を有料で貸し出す計画だ。最初の展示には、学生時代に出合った毛糸のオブジェや信楽焼などを出す。赤松さんは「難しいことを考えず、ふらっと立ち寄ってもらえる場所にしたい」と話している。

 営業は午前10時〜午後6時。水、木曜日定休。問い合わせは26日以降にアノニム(電話0266・75・1658)へ。

写真説明:古民家を改装した自作のギャラリーで開業準備を進める赤松さん

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