長野市街地南東の若穂地区と須坂市の境にある里山だが、その姿たるや1300メートルに満たない山とは思えない立派さである。
西中腹に正三角地形の山新田集落を抱きこみながら、四方へ尾根を伸ばしてすくっとして立つ姿は長野市街地の西からもよくわかる。
古くは明徳山ともいわれたようだ。中世にはこの山一帯が一大要害地であったといわれている。文献によれば、西の尾根基部に綿内字木曽殿城、扇平、石峡、大峡など。南の尾根下には小名丹後屋敷、馬場、清正の刀石など。南東と東のそれには隠れ峡、小屋場、壇峡、小峡、大峡、城山。北西のそれには井上の大城、小城。北東には鷹羽城、源太城とあって、まさに山全体が城のようなものであった。
千曲川の東にあって山ろくは降水量が少なく、古来、雨乞いの神として信仰されたようだ。長野市側、須坂市側とも、頂上近くにある白鬚神社には稲穂がそなえられていることもあり、水による農耕の成功を感謝していると思われる。
昔から地元民に愛し続けられている里山の代表格といってよい。
山新田最上部で左への林道八町線と分かれて右の保科へ続く林道高岡山新田線へ(せまいが舗装)。約1、5キロ強で左折し、約400メートルで再び2分。小さな登山口の標識があるが、駐車スペースがわずかなので約200メートル進んで行き止まりの広場。左のスギ林を横断。右上に白鬚神社里宮。すぐに左からの登山道と合流。間もなく穴水の看板と右の岩の中に伏流水が流れていて飲める。不動尊が岩の上にある。さらに火伏不動尊をすぎて谷はひらけてくると傾斜は増す。トラロープがあったり、樹木をつかんで登ったりのかなりの急登を終えると白鬚神社となる。神社の右横から道は続き、緩傾斜になってくると、記念登山の木柱や頂上の看板のある展望台。実質的に頂上とみてよいが、三角点のそれは北へ平らな尾根を一投足である。林道終点広場から約2時間弱。
ほかに林道八町線の中間八丁峠から。須坂市八町からパラグライダースクールをすぎて林道花田線へ入る明徳社コース。東山ろくの仁礼小学校から入山するコースもある。
近年展望台の樹林が伐採されていい展望になった。特に妙高火山群がよく、その中でも奥まった位置にある金山、天狗原山など見えるのはうれしい。南東は迫りくるような根子岳。東から北東へ上信国境や志賀高原の山が望める。北西眼下に98年の長野冬季五輪会場となったMウェーブが光っている。
長野市側の若穂綿内地区に温湯温泉「湯〜ぱれあ」。南の同保科地区に保科温泉永保荘。須坂市側は南東山ろくに仙仁温泉、仁礼に湯っ蔵んど。