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南ア こもれび山荘
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北ア 白馬大池山荘
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西駒山荘
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北ア 焼岳小屋
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登山届空欄「救助できない」 提出義務化、目立つ不備
2017/09/08 11:04
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 県登山安全条例に基づき昨年7月1日から提出が義務付けられた登山計画書(登山届)のうち、登山口で提出される手書きのものに緊急連絡先や行動予定、下山予定などが記載されないケースが目立っている。出発を急ぐばかりに記入を面倒に思っている可能性もあるが、中には氏名しか書いていないものもある。提出義務化は遭難時の迅速な救助につなげる目的だが、各地の山岳遭難防止対策協会の救助隊員は、「万一の場合に役に立たず救助できない恐れがある」とし、記入の徹底を呼び掛けている。

 「この2枚は話にならない」。今夏、北アルプス・上高地(松本市安曇)で登山相談員をした北ア南部地区遭対協の今川剛之(よしゆき)さん(72)は7月30日夕方、こう話した。上高地バスターミナル近くの登山相談所のポストにこの日投函(とうかん)された約400枚を点検すると、1枚は名前しか記載がなく、もう1枚は登る山を書く欄に「奥穂高岳」とだけあり、ルートや日程はなかった。

 上高地から奥穂高岳に向かうルートは、岳沢経由や涸沢経由など複数あり、所要時間も異なる。今川さんは「下山日が記されていればルートを予想できるが、情報が足りないと遭難の際どこを捜索すればいいか分からない」と嘆く。相談所前で記入している際に不備に気付けば指摘できるが、登山者が集中する朝は全てには目を通せない。緊急連絡先や住所、日程が書いていないものも見つかった。

 南ア・駒ケ岳などを管轄する南ア北部地区遭対協副隊長の有賀俊康さん(48)は「夏のハイシーズンに必要な情報が十分書かれているものは全体の3割ほど」と言う。「ザックやテントの色、緊急連絡先、詳細なルートの記載があれば精度の高い捜索ができるのだが」。中アの伊那側を管轄する駒ケ根署によると、今夏、中アの尾根上で道に迷ったと携帯電話で通報してきた男性の場合、登山届に宿泊すると書かれていた小屋には泊まっておらず、捜索の手がかりにはならなかった。

 県によると、昨年7月1日以降、集計が済んだ今年3月末までの9カ月間で15万1962件(登山者数では37万8688人)の登山届が提出された。このうち前年と比較できる同じ提出方式の届は13万6663件で、義務化前の15年7月〜16年3月に比べると42%増えた。

 全体の8割を超える12万5469件は、登山口などにあるポストに投函された。インターネットでも事前に提出できるが、投函だと直前に書く場合が多い。遭対協の関係者は、先を急ぐ余り記載を漏らす登山者が多いとみる。

 北ア・涸沢を今夏訪れた塩尻市の男性(67)は「ルートの経由地をどこまで詳しく書けばいいか分かりにくい」と漏らした。書き方に慣れず、戸惑う登山者も多いが、県山岳高原観光課は今のところ記載事項を簡素にする考えはないという。同課は「煩雑でも必要事項を記入することでこれから向かうルートを理解し、準備が万全か見つめ直す機会にしてほしい」としている。

写真説明:今夏、北ア・上高地の登山相談所に投函された登山計画書。日程や宿泊形態の欄が空白だった(画像を一部加工)



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