信州山小屋ネット~朝日に染まる白銀の山々(大町市の山岳博物館から)

「山の手帖2018」
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松本 山岳フォーラム
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浅間山噴火「系統樹」
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松本 山岳フォーラム
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あんぜん登山の最前線~多様化時代と「学びの場」~(4)
2013/11/08 10:20
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<公的機関の講座 高まる需要、少ない拠点>

 雨が勢いを増し、気温も下がった10月19日夜、大町市の北アルプス七倉沢。同市の県山岳総合センターが1泊2日で開いたビバーク(露営)訓練は、本番さながらの厳しさになった。だが、河原に張ったツェルト(簡易テント)の中で、神奈川県藤沢市の会社員桐沢由樹子さん(37)はにこやかだった。

 桐沢さんが登山を始めたのは数年前。単独行を中心に少しずつ経験を重ねたが、急な岩場などへの恐怖感を拭えず、限界も感じたという。丹沢(神奈川県)の低山や北ア燕岳(2763メートル)には登れても、目標だった北ア奥穂高岳(3190メートル)には挑戦できずにいた。

 インターネットで同センターの「岩場の通過技術」講座を知ったのはそんなころだ。「これだ」と飛び付いた。昨年6月に受講を始め、「岩登り入門」「雪山入門」なども受講して腕を上げつつある。

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 県山岳総合センターは2012年度に、県山岳協会とNPO法人「信州まつもと山岳ガイド協会やまたみ」(松本市)が指定管理者となり、「安全登山」に役立つ登山者向け講座を充実させた。

 11年度に計19回だった講座は、12年度に計58回に増加。夏山、雪山など、数日間ずつ複数回の連続講座も増やし、「初めてのテント泊登山」「初めてのテント泊縦走登山」など、細かく内容を変えた新メニューも加えた。

 センターは「登山の技術や知識をステップアップできる講座を心掛けている」と話す。受講者は県内外から集まり、12年度は11年度(546人)のほぼ1・9倍の1041人だった。

 「講座にはやりたいことがそろっていた」と話す桐沢さんは、社会人山岳会で活躍する講師から学べる点も魅力に挙げる。本年度は通年の連続講座「リーダーコース」で露営訓練などを総合的に学び、今夏は念願だった奥穂高岳の頂に立つこともできた。

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 県山岳総合センターなど公的機関が運営する研修施設の講座は、手頃な料金や安心感などからすぐに定員が埋まるものが少なくない。だが、こうした研修機能を担うところは国内では数えるほどだ。

 国立登山研修所(富山県立山町)の講師、東秀訓(ひがしひでのり)さん(53)は「国内で、行政が関わって体系的に学べるのは登山研修所と大町のセンターの2カ所だけ。指導者も少ない」とする。公的施設6カ所でつくる「全国登山研修施設協議会」があるが、北海道と滋賀県の施設が閉鎖したこともあり、08年度を最後に活動していない。

 ただ、東さんによると、愛知県や奈良県には市町村が設ける総合型地域スポーツクラブが活動に登山を加え始めた。東さんは登山者のニーズの高まりを踏まえ、「登山を身近に学べる場を整えることが、遭難防止への近道になり得る」と話している。

写真説明:講師(左)から岩場で安全に行動する技術を聞く桐沢さん=10月19日、大町市の北アルプス七倉沢


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