信州山小屋ネット~朝日に染まる白銀の山々(大町市の山岳博物館から)

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西駒山荘
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霧ケ峰
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涸沢
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あんぜん登山の最前線~多様化時代と「学びの場」~(3)
2013/11/07 10:23
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<ガイド制度未整備 登山者が選べる環境を>

 日本山岳ガイド協会(東京)認定のガイド中山泰さん(31)=松本市笹賀=は3日、夏の間、自宅の押し入れにしまってあったピッケルやアイゼンを念入りに点検した。間もなく冬山シーズン。気持ちは高ぶったが、「生活の心配をしないと」と不安もよぎった。

 熊本県出身で、雪のない季節の登山道を中心に案内できる同協会の「登山」のガイド資格を5月に取った。経験を積もうと、熊本市から6月に妻と松本市に引っ越した。同市のNPO法人「信州まつもと山岳ガイド協会やまたみ」に所属し、今年の夏山ではツアー登山のガイドなどを経験した。

 やまたみのガイド約50人のうち、ガイドだけで生計を立てている人は3人にとどまる。多くの登山者に指名されるようにならないと、職業にすることはできない。登山者が減る冬場、中山さんは登山技術を磨きながらアルバイトもするつもりだ。

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 国内には山岳ガイドの団体がいくつもあり、ガイドを認定する独自の制度を持つところもある。長野県観光部が創設した「信州登山案内人」のような自治体の認定制度もある。だが、観光庁観光産業課は全国のガイド、ガイドを職業にしている人の数は把握できないとする。

 山岳ガイドの必要性についての理解は広がりつつあるが、ガイド1人につき1日3万円ほどとされるガイド料を割高と感じる人は少なくないとの指摘もある。ガイドなしで独自に知識や技術を身に付け、無理をせずに登山を楽しむ人は多い。

 中山さんが九州を離れて松本に移り住んだのは、「ガイド登山が九州地方には浸透していないという印象があった」のが一つの理由だ。全国から登山者が集まる北アルプスなら、ガイドの需要も一定程度あり、経験を積んで職業にできると考えたという。

 県内のガイドの1人は「登山は個人スポーツ。それぞれが安全に楽しむのが前提だ」とし、ガイドはその手助けをする役割と位置付ける。一方で、認定制度がいくつもある現状も踏まえ、「ガイドがどのようなものなのか、登山者にはまだ分かりにくい」と話した。

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 日本山岳ガイド協会の常務理事武川(たけかわ)俊二さん(58)は近年、ガイドの集まりなどでたびたび「ガイドの地位を確立したい」と強調している。

 同協会は会員1099人と国内最大のガイドの団体だ。国際山岳ガイド連盟(本部・スイス)の基準で国際山岳ガイドを認定できる国内唯一の団体でもある。厳格な認定基準を設け、一般登山者への安全登山の普及にも努めているという。

 武川さんは、ヨーロッパアルプスを抱えるフランスのように、山岳ガイドを国家資格にすることも目標に挙げ、「登山者が適切にガイドを選べる環境を整備することが、より安全な登山を広げることにつながる」と訴えている。

写真説明:冬山シーズンを控えて装備を整える中山さん=3日、松本市笹賀



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