信州山小屋ネット~朝日に染まる白銀の山々(大町市の山岳博物館から)

西駒山荘 荷下げ
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西駒山荘
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霧ケ峰
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涸沢
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あんぜん登山の最前線~多様化時代と「学びの場」~(2)
2013/11/06 11:39
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<高山登らなくても 身近な自然を楽しむ>

 「これは何の動物のうんち?」「たくさん毛が交じっているから、イタチかテンかな」。道端を指さす子どもに、日本山岳ガイド協会(東京)認定のガイド石塚聡実さん(49)=松本市里山辺=が答えた。ドングリを拾った子どもには、「熊の餌になるんだよ」と教えた。

 10月14日、松本市のNPO法人「信州まつもと山岳ガイド協会やまたみ」が、松本市入山辺の三城(さんじろ)牧場から美ケ原高原に上がる登山道で開いた親子対象の登山教室。同法人事務局の石塚さんはほかのガイド4人と、参加した子ども9人の歩みに注意を払い、保護者3人にも声を掛けた。

 「子どもは疲れると転びやすくなる。親と離れてしまい、遭難するケースもあるんですよ」。子どもの腰に短いロープをつなぎ、安全を確保する方法も分かりやすく教えた。

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 「高尾山(東京、標高599メートル)の次に、もう奥穂高岳(3190メートル)に登ってしまう」。近年の登山ブームで、性急に高山を目指す若い登山者らの傾向を、県内山岳関係者らはこう表現する。

 石塚さんも「(低山から高山への)中間がすっぽり抜け落ちた登山者が増えた」と指摘。登山の知識、技術だけでなく、ほかの登山者への配慮に欠ける人もいるとし、やまたみの教室では身近な山を楽しみながら基本的なマナーも伝えている。

 石塚さんは10月14日の登山教室で、美ケ原高原を下り始める直前に「絶対に走ったら駄目だよ。静かにゆっくり」と子どもたちに声を掛け、落石を引き起こしたり、人にぶつかって滑落させたりする危険もあることを強調。過去に起きた落石による死亡事故の事例も紹介した。

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 美ケ原高原は標高2千メートルほど。車道が整備され、気軽に足を運ぶことができる。だが、三城牧場から約2時間半の登山道は変化に富み、道中では動物や植物、地理など、いくつもの発見があるという。

 子ども2人と教室に参加した松本市庄内のパート従業員宮内美里さん(38)は今夏、友人に誘われて家族で登山を始めた。登山といえば3千メートル級しかイメージしていなかったという宮内さんは、「こんな登山道は知らなかった。ガイドと歩けば、山頂を目指して高い山に登らなくても楽しさを気付かせてくれる」と話した。

 日本山岳ガイド協会が認定する資格は、「登山」「国際山岳」「フリークライミング」「スキー」など10種類。石塚さんは、身近な自然をじっくり楽しませる能力が必要な「自然」と、「山岳」のうち通年で岩場を含む縦走路を案内できる資格を持つ。「登山の目的は高みを目指すピークハントだけじゃない。身近な自然の素晴らしさに気付くことが目的であってもいい」と話した。

写真説明:子どもへのロープの結び方を母親(右)に教える石塚さん(左)=10月14日、美ケ原高原



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