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霧ケ峰
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涸沢
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八ケ岳の希少植物、絶滅か 「シカ被害調査」報告書
2010/06/17 10:28
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 八ケ岳を代表する高山植物のコマクサやクロユリなどがニホンジカの食害に遭っている問題で、中部森林管理局(長野市)が16日までに公表した「八ケ岳の高山帯におけるシカ被害調査」報告書から、食害や踏み荒らしなどが標高2800メートル以上に及び、環境省など指定の絶滅危惧(きぐ)種の中には既に絶滅したとみられるものもあることが分かった。同局は「当初想定していたよりも被害は深刻。対策について早急な検討が必要」と訴えている。

 事前の調査でシカ食害が認められたため、昨年7~10月に初めて本格的な植生調査を実施した。麦草峠(2127メートル)から権現岳(2715メートル)に至る稜線(りょうせん)や、稜線に至る登山道などを11回に分けて歩き、被害分布図などを作成した。

 報告書によると、食害はシカが入り込めない高山の岩場を除くほぼ全域で確認され、高い場所では阿弥陀岳(2805メートル)山頂や横岳(2829メートル)周辺に及んだ。確認した植物365種のうち、ほぼ半数の182種が食べられるなどしていた。

 目立ったのは、麦草峠周辺の草地、黒百合平の湿原、横岳の「台座の頭」周辺、横岳北西の沢筋や美濃戸中山(2387メートル)南の沢筋など。台座の頭はコマクサの踏み荒らしがひどく、黒百合平はクロユリが食害を受けて開花の跡が見られず、ともに最も深刻な「被害ランクA」とした。

 環境省や県版のレッドリストで絶滅危惧種、準絶滅危惧種に指定されている八ケ岳の「希少種」50種でも、17種の被害を確認した。台座の頭などで見られる八ケ岳の固有種ヤツガタケキスミレや、八ケ岳と北アルプスの白馬岳、北海道でしか見られないとされるウルップソウなども葉や茎の先端が食べられたり、踏み荒らされたりしていた。

 10年前の調査で同局が確認していたキバナノアツモリソウ(環境省、県版ともに絶滅危惧1B類)とタカネアオチドリ(県版の絶滅危惧1A類)は「シカの食害に伴い絶滅した可能性が高い」とした。

 同局指導普及課の元島清人さんによると、八ケ岳の斜面には、噴火と浸食の繰り返しでできた階段状の地形が発達し、シカが高所への移動に使っているという。8月を中心に夏季は高山帯で過ごし、9~10月ごろに稜線から下りるという。

 元島さんは「先に被害が見つかった南アルプスの方が被害は甚大だが、『八ケ岳の夏』もお花畑がなくなるなど2、3年でがらっと様変わりした」と指摘。このままシカ食害が続けば植物群落が消失する恐れがあるとしている。



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