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「山の手帖2018」
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松本 山岳フォーラム
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浅間山噴火「系統樹」
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雪崩情報を地道に発信 白馬のNPO法人ACT
2009/01/19 09:58
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 気温や日射量といった気象情報に加え、雪面の状態、地形、さらに経験を加味して山の状況を判断する。北安曇郡白馬村のNPO法人「ACT(アクト)」が雪崩発生の「危険度情報」の発信を始めて2シーズン目となる。雪崩の事故は人命を奪う惨事になりかねないだけに危険度情報には重みがある。ACT情報発信室のデビット・エンライト室長(35)=カナダ出身=が地道に情報発信を続ける現場を見た。

      ◇

 14日午前7時半、白馬八方尾根スキー場の下部にあるアウトドアセンターにエンライトさんがやって来た。「八方尾根の南側斜面に雪崩跡があった。今シーズンに見た中では一番大きい」。村内の自宅から、自らが経営する同センターに来る間も山への注意は欠かさない。この雪崩はスキー場最上部のリフトの近くからスキー場外で発生、長さは1キロを超えていた。

 パソコンに向かうと、八方尾根の八方池付近(2、080メートル)と、同郡小谷村の白馬乗鞍岳の山頂付近(2、456メートル)にACTが設置した気象観測装置からのデータに目をやる。八方池付近の気温は氷点下12・5度、風速9・1メートル…。日が高くなるにつれて日射量は一気に増していきそうだ。2日前に小谷村で山スキーのガイドをした際に調べた雪の積もり方や硬さを記したノートにも目をやる。このノートには山に入って自分で集めた雪のデータが蓄積されている。

      ◇

 同センターに着いてから約1時間、エンライトさんは作業を手伝う松尾和久さん(34)=白馬村=と話した後、じっとパソコンを見つめながら判断を下した。雪崩危険度は5段階のうちの「4」。「八方尾根の南側での雪崩は新たに降った雪が不安定な証し。この日射量だと、(尾根などの風下側に雪が張り出す)雪庇(せっぴ)が非常にもろくなる」。エンライトさんがACTのホームページに英語で入力した状況解説を松尾さんが日本語に翻訳する。

 危険度情報は白馬、小谷一帯の森林限界を超えた山岳地帯が対象。山スキー客らに注意を促すのが目的だ。日本語と英語の情報を月、水、金曜日に更新している。情報発信を任されているエンライトさんはカナダ雪崩協会の講習などで雪崩対策を学んだ。

      ◇

 ACT理事長の元村幸時さん(46)=白馬村=は、小谷村内のスキー場のパトロール隊長だった1991年、見回りをしていたアルバイトの高校生を雪崩で亡くした。この体験がACTの活動の礎となっている。

 北アルプスでは2006年4月、山スキー中の雪崩事故が続発。小谷村栂池高原から入山した3人など計6人が死亡した。

 スキー場の上方で発生した雪崩の情報を提供していたACTは、07-08年シーズンから3段階での危険度情報を始め、今シーズンからは5段階へと充実させた。

 山を楽しみながらも、畏敬(いけい)の念を忘れないエンライトさん。「事故を回避しながら白馬山ろくの良さを伝えていきたいのです」。

 ACT(アクト) 雪崩事故の防止や救助などに取り組む団体で2000年に設立。03年にNPO法人になった。北安曇郡白馬村、小谷村の山岳ガイドやスキー場のパトロール隊員など会員は25人。雪崩について独自の「危険度情報」を発信している。防災科学技術研究所雪氷防災研究センターと連携し、07年に白馬村八方池付近に気象観測装置を設置、08年には小谷村の白馬乗鞍岳の山頂付近にも設置した。08年度の国土交通省の雪崩災害防止功労者に選ばれた。ホームページはhttp://actjapan.org/


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