
北アルプス岳沢(だけさわ)で岳沢小屋(標高2170メートル)が完成、23日から本格営業を始める。既に売店は開けており、21日も登山者でにぎわった。2006年の雪害で前身の小屋が全壊し、岳沢での山小屋の営業は5シーズンぶり。支配人の坂本龍志さん(42)=安曇野市=は「登山者の憩いの場として何度も訪れてもらえるようにしたい」と話している。
岳沢には涸沢から奥穂高岳、前穂高岳を登り、上高地に下山する登山者が多く通る。21日に前穂高岳を登って下山してきた会社員瀬戸口幸子さん(33)=浜松市=は「下りは長くてつらかった。小屋での食事が楽しみ」と笑顔を見せた。
岳沢小屋は槍ケ岳山荘経営者の穂苅康治さん(61)=松本市=が総工費約6千万円で建設。30人収容の宿泊棟、食堂などのある管理棟、トイレ棟の3棟で計約180平方メートル。営業は10月中旬まで。
前穂高岳への登山道は鎖場が連続、長時間の行動で疲れた登山者の滑落事故などが発生しやすいため、岳沢小屋は遭難救助の拠点にもなる。北ア南部地区山岳遭難防止対策協会の上高地班長奥原宰さん(55)は岳沢に山小屋がない時、日暮れ後にヘッドライトで下山してくる登山者を「何度も救助に行った」といい、「岳沢に泊まれるようになれば登山者も無理な行動をしなくなる」と期待している。
【写真説明】完成した岳沢小屋の前で休憩する登山者