明治の遺産が新名所に 安曇野の漆久保トンネル開通
安曇野市明科にあるJR篠ノ井線の廃線敷にある「漆久保トンネル」が散策路に生まれ変わり、8日、現地で「開通」式典が行われた。線路の付け替えに伴い閉鎖されてから、約20年ぶりに再利用されることになった。地元区などが安曇野の新たな名所としてPRしていく。
トンネル周辺を散策コースとして整備してきた地元の潮沢区が、市にトンネルの改修を要望していた。
式典で、前区長の小林忠孝さん(70)は「安曇野の新名所にしたい」と話したほか、平林伊三郎市長は「『中に入れろ』という落書きもあった」とのエピソードを紹介した。また、小学校の下校途中によく寄り道したという北安曇郡池田町の鳥羽季義さん(71)は「トンネルに入り込んで、よく怒られました。懐かしいですね」と話していた。
れんが造りのトンネルの断面は高さ7・5メートル、幅4・4メートルの馬てい形。長さは53メートルある。1902(明治35)年6月の篠ノ井線西条-松本間の開業に合わせて、明科の工場で作られたれんがで建設された。線路の付け替えに伴い、JR東日本が1988年に閉鎖し、旧東筑摩郡明科町に譲渡。その後は使われていなかったが、地元住民や鉄道ファンか「開通」を望む声が高まっていた。
市が約390万円をかけて補修。落ちかかったれんがを取り除き、歩きやすいように地面には砂利を敷いた。天井には蒸気機関車の黒いすすが残り、歴史を感じさせる。
【写真説明】20年ぶりに閉鎖が解かれたJR篠ノ井線廃線敷にある漆久保トンネル
(09年4月 9日掲載)