熟練の手仕事、次世代へ 岡谷で60年ぶり「真綿」作り

2017/01/16 09:53
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 戦後間もなく、蚕の繭からできる「真綿(まわた)」作りに従事した岡谷市山下町の浜みとしさん(88)が15日、市立岡谷蚕糸博物館で約60年ぶりに真綿作りを実演した。昨年秋、浜さんのことを知った学芸員が「昔ながらの作り方を後世に残したい」と依頼して実現。浜さんの熟練した手仕事を映像でも記録した。

 明治から昭和にかけて製糸業で栄えた岡谷。同館によると、一般家庭では真綿が作られ、はんてんや布団の一部に使っていた。生糸作りに適さない2匹分の繭がくっついた玉繭(たままゆ)や汚れがある繭を材料にしていたという。

 実演で浜さんはまず、ぬるま湯に漬けた繭の薄い部分を親指で探し当て、器用にさなぎを取り除いた。さなぎを取り出した穴を基点に均等な薄さに延ばし、木製の枠に掛けて約30センチ四方に。「手は動くけどやっぱり思うようにいかない。均等に延ばすのは難しいね」と言いつつも、柔らかそうな真綿が完成した。

 浜さんは尋常小学校を卒業後、市内の製糸工場で勤務。戦後、家計を支えるため工場勤務より高給だったという真綿作りを始めた。結婚後は自宅で子どもを背負って仕事し、稼ぎは月に1万2千円ほど。浜さんは「生活のために真綿作りが必要だった。蚕には仕事をくれてありがとうと思っている」と話していた。

 同館は21日午後1時半から、学芸員が指導する真綿作り講座を開く。体験料千円で要予約。問い合わせは同館(電話0266・23・3489)へ。

写真説明:手で延ばした繭を幾重にも木製の枠に掛けていく浜さん(右)

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