長野に「帰郷」日章旗初展示 芋井公民館で戦争資料展

2016/08/18 11:17
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 長野市の芋井地区住民自治協議会などが芋井公民館で開いている戦争資料展で、太平洋戦争中にフィリピン・レイテ島で死亡した芋井村(現長野市芋井地区)出身の小林孝二(たかじ)さんの日章旗が初めて展示されている。米ミシガン州の女性から約10年前、現地に留学していた都内の女性を通じて遺族の元に戻った。住民たちは、地区内の十数人から寄せられた軍服や手紙など数々の資料と共に「戦争体験を受け継ぎたい」と思いを強くしている。

 孝二さんは5人きょうだいの次男。旧国鉄に勤めていたが、船舶の乗組員としてレイテ島に派遣され、1945(昭和20)年4月10日、現地で戦争に巻き込まれて亡くなった。22歳だった。

 旗は縦70センチ、横95センチほど。「祈武運長久」の文字や孝二さんの名前、41〜45年に芋井村長だった荒井岡之助さんら地域の人々とみられる名前も多く書かれている。

 レイテ島で米軍用トラックの運転手をしていた米国人男性が旗を保管していたという。没後、遺品を整理していた男性のめいが、都内の女性を通じて約10年前、遺族に返した。旗を受け取る際、孝二さんの弟の金治さん(2009年他界)ら家族は「孝二さんの魂が故郷に戻って来たかったんだね」と喜んだという。

 戦争資料展の会場にはほかに、10〜30代で亡くなった人たちの遺影などが並ぶ。満州(現中国東北部)や東南アジアから家族に宛てた手紙の中には、「死んで立派な親孝行 大東亜戦争は引(き)受けた」といった内容もある。

 17日は会場で追悼式があり、遺族10人余が参加した。義父の兄を戦争で亡くした小林直子さん(68)は「戦争はその時だけでなく、長く痛みが続く。遺族でない人にも伝えなければ、危機感が薄れてしまう」と話していた。

 戦争資料の収集は、自治協会員でつくる地域活性化プロジェクトチーム会長の和田蔵次(くらつぐ)さん(78)が企画。今後も資料の提供を住民らに呼び掛け、資料の目録作りや保管場所の検討などを進める考えだ。「遺品が土蔵などに眠っている家庭はまだたくさんあるはず。廃棄されないようにしたい」と話した。

 戦争資料展は20日まで。午前9時〜午後5時。無料。

写真説明:米国から戻った日章旗(右側)が並ぶ戦争資料展。小林孝二さんの名前が書かれている

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