ピアノ演奏、亡き息子胸に 松本の塚田さん11月1日披露

2015/10/30 11:12
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 松本市在住のピアニスト塚田弘子さん(54)が11月1日、同じ音楽家らのグループに所属する宮下夏枝さん(61)=松本市=と共に、同市のあがたの森文化会館で一般向けリサイタルに臨む。5月から準備を続けてきたところ、チラシをデザインした塚田さんの三男で大学生の克也さんが9月に19歳で急逝。一時は中止も考えたが、宮下さんら周囲の支えもあり「息子も望むはず」と開催を決めた。

 2人は、市内などの音楽家でつくる「ムジカーレ松本」の仲間。このグループは塚田さんが主宰する。仕事や家事で忙しくても勉強を続けようと、知人らに演奏を披露する例会を年2、3回開いてきた。一般向けに有料で公演する機会はなかったが、今回はグループの支援者から「2人のピアノを多くの人に聞いてほしい」と求められたのを機に計画した。

 石川県内の大学に進学していた克也さんが亡くなったのは9月1日朝。致死性不整脈による突然の死だった。塚田さんのリサイタル開催を「ずっとできなかったから良かったね」と喜んでいたという。

 克也さんは中学、高校時代に美術部で部長を務めた経験があり、塚田さんらが昨年福祉施設などでボランティアコンサートを開いた際にはチラシをデザインした。今回も同じバラのデザインをチラシに使い、亡くなる数日前に最終校正したばかりだった。

 克也さんの死後、塚田さんは食事や睡眠もままならず、一時は「ピアノを弾くことが悪いことのように感じた」。演奏曲を克也さんに聞かせるつもりで弾くうちに、少しずつ前向きな気持ちになれたという。

 塚田さんは克也さんについて「物事を途中で諦めることを許さない性格だった」と振り返る。リサイタルに向けては「今まで培ってきたことを誠実に披露したい。息子もそれを望んでいると思う」。宮下さんも「なかなかできない機会なので、後悔しないよう演奏したい」と話している。

 当日は午後2時開演。2人が近年、一緒に取り組んできたフランスの作曲家フォーレの組曲「ドリー」やラベルの組曲「マ・メール・ロワ」の連弾を披露する。入場料千円(当日1500円)。問い合わせは塚田さん(電話0263・57・8592)へ。

写真説明:リサイタルに向けて練習する(左から)塚田さんと宮下さん。(右手前の)チラシは克也さんがデザインした

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