春草の新資料、特別展で公開 飯田市美術博物館

2015/03/31 11:17
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 飯田市出身の日本画家、菱田春草(1874〜1911)のスケッチや下絵などに焦点を当てた市美術博物館の特別展「創造の源泉」(3月21〜4月19日)で、新たに発見された複数の資料が公開されている。本年度生誕140周年を記念する特別展を前に、都内にある春草の孫の家で同館が確認した。未完成画や創作ノートを含み、日本画界の巨匠の制作過程に触れることができる。

 同館によると、特別展の準備のためこの1〜2年、自宅に残る資料を整理した春草の孫から連絡を受け、同館学芸員が資料の内容を調査・確認してきた。未完のびょうぶ作品「雨中美人」や、受注記録を記した「製作控帳」の発見はこの作業によるものだ。

 約200点を展示する特別展では、雨中美人や製作控帳に加えて▽「落葉」制作に向けたノート▽未完画「日蓮辻説法」▽同「杉木立」▽同「春秋」―といった十数点の新発見資料が並べられた。

 重要文化財の代表作「落葉」制作に向けた小ぶりのノートは、前半60ページ余に写生、後半には絵の構想図が描かれている。植物や樹幹、落ち葉や根元の写生があり、春草が自宅近くの林に持参して現場でスケッチしたものとみられる。作品のモチーフを探し、その後で制作の構想を意識した写生に移る―といった創作の過程がうかがえるという。

 日蓮辻説法の完成作=1909(明治42)年=は関東大震災(1923年)で焼失した。今回確認された未完成画について同館は「白黒写真しか残らない完成作の色彩を伝える貴重な資料」と紹介している。杉木立の未完成画は、完成作とほぼ同じ構図。春秋の未完成画は木炭による下書きの線が見られ、完成作と比べて葉が密に描かれている。

 同館の槙村洋介学芸員によると、調査ではインドを題材にしたスケッチや、学生時代の植物のスケッチなども見つかった。新資料がまとまって発見されたことで「春草の制作の過程がより鮮明になってきた」と評価。最初に取り掛かった下絵やスケッチを眺めることで「春草が絵に取り掛かる時の思いが直接伝わってくる」と話している。

写真説明:未完「日蓮辻説法」。完成作は関東大震災で焼失している(上)。未完成の「杉木立」(下左)。代表作「落葉」制作のため、構想やスケッチが描かれていたノート

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