民主党が県内5小選挙区を独占し、自民党議席がゼロになる激変をもたらした衆院選。民主党中心の新政権発足を受け、両党の攻防は攻守所を変えることになる。公明、共産、社民、国民新の各党は国政の転換を踏まえ、どう今後の戦略を描いていくのか。衆院選後の県内各党の姿を追う。
世論調査などに基づく選挙情勢が「民主優勢」と伝えられた衆院選中盤の8月下旬。4区に立候補した民主の矢崎公二氏の事務所を、地元首長の1人が「陣中見舞い」として訪れた。自民前職の後藤茂之氏陣営の顧問に名を連ねていたこの首長は、矢崎氏と事務所で直接面談。事前に約束を取り付ける念の入れようだった。
このころから、陣営には建設業界の団体から「為(ため)書き」が届くなど、これまで接点の乏しかった団体からの激励が増え始めたという。立候補を表明してから1年足らずでの変化に、陣営関係者は政権交代の「予兆」を感じた-と振り返る。
県内小選挙区で全勝し、それぞれが自民党に代わって与党議員となる民主党。同様の「異変」は各地で起きている。5区で初当選した同党新人加藤学氏の陣営にも、投開票日の8月30日以降、これまではあまり姿を見せたことがなかった飯田下伊那地方の首長らが、次々に「お祝い」に訪れている。今回、小選挙区で初めて当選した1区前職の篠原孝氏。30日夜、祝勝会場に駆けつけた岳北地方の首長は早速、地元で国政報告会を開く準備をしたい-と持ち掛けた。
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「官僚丸投げの政治から、政権党が責任を持つ政治家主導の政治へ」。民主党が衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約)は政治のあり方を転換させる姿勢を打ち出した。党県連の北沢俊美代表も8月31日の記者会見で、従来の「陳情型政治」からの脱却を図る-と強調した。
ただ、依然として国が多くの権限や財源を握る構造をどう変えていくのか、具体的な道筋や、予算配分を決める新たな仕組みの姿ははっきりと見えてはいない。
鳩山由紀夫代表は31日、自民党政権下で進められた中央省庁の来年度予算概算要求を全面的に見直す方針を示した。こうした中、県内首長や業界団体には新政権への期待と不安が混在。取りあえず「国とのパイプ」を確保しようとする動きにつながっている。
県内のある村長の所には選挙期間中、民主党候補の陣営から「ほかの首長さんにももらっている」として、集会に激励メッセージを送るよう要請があった。この村長は、民主党の政策能力に疑問を持っていたため断ったというが「代議士が代わればそこになびく、そうした気持ちは理解できる」とも話す。
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「地域にどんな課題や問題があるかをくみ取らないといけない。教えてもらいたい」。4区の矢崎氏は8月31日、取材に対しそう述べる一方、「予算の配分を変えるので、公共事業が利益配分の中心にはならない。(関係する地域や業界には)痛みを伴う」とも見通した。5区の加藤氏も「まず地元のこと、地域のことを教えてもらいたい。国の制度で地域の実情に追いついていない部分があれば直していきたい」と話す。
有権者の多くが望んだ「政治の転換」を個々の民主党議員がどう形にしていくのか。その一方で、自治体や首長らとどう連携を図り、地域要望の実現を求める声に対応していくのか-。「政権党」の責任の重さがのしかかってくるのはこれからだ。
【写真説明】支持者にお礼のあいさつをする民主党の矢崎公二氏=8月31日、諏訪郡下諏訪町の事務所