信濃毎日新聞ニュース特集「2008五輪聖火リレー」
出発地点返上の意見も 善光寺、結論保留
2008年4月18日掲載

 長野市で26日に行われる北京五輪聖火リレーで、出発式が予定されている善光寺が17日に開いた局議で、出発地点を返上すべきだとの意見が出た。しかし意見はまとまらず、結論を保留した。反対意見が出たのは、チベット暴動で僧侶らが弾圧されている問題をめぐって境内の提供に異論があり、警備上の懸念もぬぐえないためだ。リレーの市実行委員会が提案している式典会場周辺の立ち入り規制についても結論は出ず、近く臨時局議を開いて引き続き協議する。

 善光寺が出発点になることは昨年10月、実行委がルート概要を発表した際に決まっていた。実行委事務局の荒井恵子・市教委体育課長はこの日、「局議の内容は聞いていない。出発地点が使えないとなれば、(変更を)検討しなければならないだろう」と話した。「平和の炎」をつなぐはずの聖火リレーの出発点は一転、チベット問題で揺れる善光寺を映し出す格好で不透明な状況となっている。

 局議は、寺務総長や局長、部長ら計18人でつくる善光寺の意思決定機関。非公開の局議終了後に取材に応じた若麻績信昭・寺務総長は、チベット弾圧や警備上の不安など「問題になっていることについて意見統一ができなかった」と説明した。出席者によると、局議では「出発点の返上を実行委に求めるべきだ」などと異論が出た一方、「抗議があるから辞退するというのはよくない」として出発点になることを支持する声もあったという。

 3月のチベット暴動発生後、善光寺内では「チベットの僧侶が置かれている現状を考えるべきだ」「同じ仏教者として境内を貸すことには反対」といった声が出ている。善光寺外の市内のある住職も「五輪協力はチベット弾圧を承認しかねない。信教の自由に対する暴力を認めることにもなる」として会場提供の辞退を働き掛けたいとしている。

 リレー当日は、本堂前で出発式を開き、その後、ランナーが本堂南側の三門(山門)を抜けて仲見世通り、中央通りと走り継ぐ計画。善光寺事務局によると、妨害活動で境内が混乱した場合に「善光寺のイメージダウンになりはしないか」と懸念する声も全国から寄せられているという。

 一方、実行委は善光寺の対応とは別に、コース全体の短縮案も内部で検討。荒井課長は「不測の事態に備えて腹案は用意している。シミュレーションはしている」と説明。ただ、「現時点では短縮するつもりはない」としている。

 また、県警はこの日、警察庁とリレー当日の警備態勢の詳細を詰め、他県警などから約800人の応援を得て計約3100人をコース上を中心に配置することを決めた。


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